記事を書くときに『二重否定』を使用していませんか。あまり気にしていないというかたもいらっしゃるでしょう。
しかし二重否定の多用には注意が必要です。
なるべくなら二重否定は避けましょう。
避けたほうが良い理由を簡単に紹介していきます。
※小説やエッセイなどは対象外です。
Contents
二重否定とは?
ひとつの文章のなかで「2回」否定表現を用いるのが『二重否定』です。
まずは二重否定の例文を見てみましょう。
- できなくもない
- 願わずにはいられない
- わからなくもない
特別珍しい表現ではありません。見かける機会も多いものです。二重否定は「否定+否定」となり、結果的には肯定を意味します。
そのため「肯定文で書けなくもない」のです。(=肯定文で書けるのです)。
さきほどの例を肯定文で書き換えてみましょう。
- できる
- 願う
- わかる
いずれもシンプルな肯定文になります。
二重否定のメリット・デメリット
二重否定にはメリットとデメリットの両方があります。
メリットデメリットについても見ていきましょう。
二重否定のメリット
二重否定の代表的なメリットは以下の2つ。
- 強い肯定を表現できる
- 曖昧に表現できる
書きかた次第ですが、否定+否定となる二重否定は強い肯定を意味します。
たとえば「言わずにはいられない」「願わずにはいられない」は強い肯定です。ニュアンス的には「しないという選択ができない」といったところでしょう。
曖昧な表現としては「わからなくもない」「合っていると言えなくもない」などが挙げられます。ケースバイケースではありますが、『正しいものの、何らかの異論がある』ようなときに使えるものです。
二重否定のデメリット
デメリットとして考えられるのが以下の2つです。
- わかりづらい
- 誤用がある
二重否定は基本的にわかりづらい表現です。相手への伝わりやすさを考えるのなら、基本的には避けるのが良いでしょう。
また「わからなくもない」が「わからない」の意味で使われるなど、二重否定の誤用をWebサイトの記事で多数見かけます。二重否定を使って文章が不正確になるのでは、意味がありません。
記事を執筆するきっかけも、法律関係の記事で二重否定の失敗を見たからです。
二重否定の英語での例文から見るわかりづらさ
二重否定があるのは日本語だけではありません。英語でも二重否定はあります。そして(まさに”わからないわけではないものの”)日本語も英語も、二重否定はわかりづらくなるのが特徴です。
英語でも1つ例文を紹介します。
I was not unhappy.
この文章は「私は不幸でもなかった」といったような意味になるはずです。文章だけ見ると「私は幸せだった」とも言い換えられるでしょう。
しかし「不幸ではない」と「幸せ」は同じ意味ではないと感じる人も多いはず。
文学的にも見え美しい表現です。
しかし記事の内容によってはわかりづらいので避けるのが無難でしょう。
否定+否定+否定は避ける
さらに「良くないといえなくもない」といった文章を見かけたこともあります。もっとも避けたいのが、この構造です。
この文章は「良くない+いえない+(でき)ない」。
否定が3つ登場する文章になっていますが、結果は「良くない」となります。否定+否定で肯定になっているところに否定を足している状態です。
エッセイや小説ならアリの表現でしょう。
しかし一般的な記事なら避けるのがおすすめです。読者に素早く必要な内容を伝えるという目的からずれています。
例外
わかりやすさを追求するなら、二重否定は避けたい表現です。ただし例外もあります。
以下は例外として考えても良いでしょう。
- エッセイ
- 小説
- 体験談
- シナリオ
日常会話でも二重否定は多々出てきます。なくすほうが不自然になることもあるでしょう。使用して自然になったり、ニュアンスが表現できるのなら問題ないといえます。
ただし「正しい意味になっていること」が大前提です。
二重否定を使うと1文が長くなるので注意
二重否定を使うと1文が長くなるという注意点もあります。1文が長くなると、わかりづらさも増すものです。また冗長だとも感じられるでしょう。
理想的な1文の文字数は、40~60文字前後ともいわれます。※ただしサイトによっては1文を100文字までとしているケースも。メディアによる違いが見られるため、一般的な目安です。
40~60文字に納めるなら、長くなりがちな二重否定は避けることをおすすめします。
なるべく二重否定は使わず書くのがおすすめ
稀にですが「~ません」という表現の使用を極力控えるようにというレギュレーションもあります。さすがにまったく使わずに書くには難しいものです。「~ません」という書きかたを控えるとなると、二重否定は使えるでしょう。
ただし読みやすさ・分かりやすさを考えるなら、二重否定は使わず書くのがおすすめです。
話し言葉では非常に良く出てくるため、無意識に使ってしまいがちなもの。
なるべく避けるのがおすすめですが、使用時には正確かをチェックしてみましょう。